超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
ーー薄暗い室内。
薄汚れたテーブルに散らばったトランプ。

『テオドール様に毒を!? それで借金がチャラに……!?』

正面にいる男は、逆光で見えない。
肩越しに見えるのは、ランプに照らされた奇妙な絵ーー

「ひっ!?」
「どうした!?」

目を開けたシャルロットが、万年筆を手に取って絵を描きはじめる。

「とても気味の悪い生き物の絵が視えて……」

絵を描き終えてペンを置くシャルロット。
テオドールは完成した絵を凝視する。

中央に中年男性の頭部、左に猫のような頭部、右にカエルのような頭部、そしてその下の身体は蜘蛛。

「『テオドール様に毒を!? それで借金がチャラに!?』と言うルイスの声が聞こえたので、賭博場の情報だと思うのですが……読み取るのを失敗しました……」
「いや、これは……とても重要な情報かもしれん」
「こ、この奇妙な化け物の絵がですか!?」
「ああ。これは恐らくバエルという悪魔だ」
「悪魔!?」

テオドールは本棚から一冊の本を取り出してパラパラとページを捲り、シャルロットに見せた。
そこには、シャルロットが描いたものがもっと精巧に描かれた絵が載っている。

(私、この悪魔の絵に見覚えがある……)

シャルロットの脳裏に、ふいに記憶が甦る。

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