超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
『知らない人の顔、猫の顔、よくわかんない顔がみっつ、体はクモの絵を囲んでる人たちが視えたの……』
『はあ!?子供の絵でも読み取ったのか?そんなもの、脅迫のネタにならん』
『シャルロット、失敗したわね!』
『ごめんなさい!ムチ打ちはやめて!』

(今考えると、わからなかった顔はカエルだったんだわ……あの頃はまだカエルを知らなかったから)

シャルロットは顔を上げてテオドールを見た。

「この悪魔って、誰でも知っているんでしょうか?」
「いや、特殊な知識だ。悪魔を崇拝する犯罪組織は歴史的に少なくないから、私は頭に入れているだけだ。貴族も平民も知らない者がほとんどだろう。どうかしたか?」
「思い出したんです。子供の頃に、バエルの絵を囲む黒マントの人達を視たことを」
「!?」
「けれど、その時は何かわからず、両親に伝えても両親もバエルを知らなかったので、失敗ということで終わりました」
「いつ、誰から読み取った?」
「11歳の誕生パーティだったので、約6年前です。視た相手は、ミュラー侯爵です」
「ミュラー侯爵!?」

ミュラー侯爵はテオドールより10歳年上の温厚な男性だ。
ミュラー侯爵家は敬虔な国教徒として、社交界でも有名なため、テオドールは驚いた。

「黒いマントで悪魔の絵を囲む……典型的な悪魔崇拝行為だ。6年も前だとすると、組織を作ったのがミュラー侯爵か?
私を殺そうとした理由は、嗅ぎ付けられる前に始末したかったのか?
悪魔崇拝は国教ひいては国家への反逆行為。身分関係なく大罪だからな……」

ぶつぶつと独り言を呟きながら、悪魔が載った本のページをめくるテオドール。
その手が止まる。

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