超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

「よくわからないけれど、白い髭のおじさんが、ハダカであの隣のお兄さんに被さっていたの……」

シャルロットの話を聞いたノイエ夫妻は、パヴァティ伯爵の隣に立つ人物をちらりと見た。
パヴァティ伯爵の従者の若者。
綺麗な顔をしているがーー男だ。

「パヴァティ伯爵は男色趣味なのか……!」

ノイエ伯爵は声を潜める。
この国の宗教では、同性愛は罪とされている。
ましてやパヴァティ伯爵は愛妻家として知られており、夫婦で孤児院を尋ねたり慈善活動をする人格者。

「そんな話、噂でも聞いたことないわ」

噂話が大好きなノイエ夫人がきっぱりと言うと、ノイエ伯爵が口の端を吊り上げた。

「巧妙に隠してるんだろうよ。ああ、孤児院訪問は物色のためかもな。バレたら大スキャンダルだ」

ノイエ夫妻は目を合わせてうっそりと嗤う。

ほどなくして、パヴァティ伯爵は失脚した。
そして、なぜかパヴァティ伯爵領はノイエ伯爵家のものになった。
その土地では貴族達の食に不可欠な小麦を育てており、ノイエ伯爵家の財政は潤った。

その金でシャルロットの父ダグラス・ノイエはますます女遊びに興じ、母ミラ・ノイエは豪遊。

味を占めたノイエ伯爵夫妻は、シャルロットに同じことをさせて、脅迫するための情報を集めた。
うまく情報を読み取れなかった時は、母ミラに鞭で叩かれるため、シャルロットは必死だった。

ターゲットの前でわざと転んで触れる手口。
子供の頃は通用したが、成長するにつれてシャルロットは、目当ての男性の前でわざと転んで抱きつく『ふしだらな令嬢』『ドジッ娘シャルロット』と揶揄されるようになる。
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