超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
「ダリラに酸っぱい料理しか食べてないことを指摘したのは、『私は貴女の妊娠を知ってる』と遠回しに伝えたかったのですが……。
まさか侯爵マダム達が、それで妊娠に気付くとは思ってなくて……」

シャルロットは、ダリラが托卵しようとした事実は許せないが、妊婦を追いつめることは本意ではなかった。

紅茶を飲んでいたテオドールが、ティーカップを置く。

「ダリラの妊娠が今日、公にならなかった場合。ダリラは妊娠を隠したまま、ユーリと結婚」
「!」
「ダリラが懸念していた通り、紺色の髪と青い目の子が産まれた場合、その時点で婚姻は無効。
フォラツ家を騙していたのだから、ゾーヴィス家は莫大な賠償金を支払う。
ダリラは修道院行き。ユーリはまた結婚相手を探さねばならない」

(地獄絵図だわ……!)

シャルロットは他人事ながらも、想像だけで胃が痛くなりそうだ。
胃の辺りを押さえるシャルロットをよそに、テオドールは話を続ける。

「産まれた子が、ダリラに似た金髪の子だった場合。
ユーリも金髪だから、托卵が気付かれずにユーリの子供として育てられただろう」
「それはまずすぎます!」

貴族の結婚の本質は血を繋いでいくことだ。
しかも、フォラツ公爵家は王家とも関わりのある大貴族。

「君は正しいことをした」

テオドールがシャルロットを見据える。

「そもそもダリラが君に攻撃をしかけなければ、公になることはなかったのだから因果応報だ」
「はい……」

ダリラは大罪を犯した。
しかし子供には罪はない。

(子供が無事産まれますように……)

シャルロットは静かに祈ったのだった。


< 76 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop