超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
シャルロットとテオドールは向き合って、伸ばした左手を合わせた。
テオドールの右手はシャルロットの背中に添えられ、シャルロットはテオドールの肩に右手を乗せる。

(ダンスって結構密着するから恥ずかしいわ……)

頬に熱が集まるのを感じるシャルロットをよそに、テオドールが「音楽がないので、口頭でカウントする」と言った。

「は、はいっ」
「ワン・ツー・スリー」

テオドールは三拍子のカウントを正確に刻みながら、ブンッと音がしそうな勢いでナチュラルターンをしたので、シャルロットは目を白黒させた。

(確かに動きは合っているけれど……優雅さゼロだわ!)

ダンスの練習が終わり、時計を見るシャルロット。

「私これからトレーズ侯爵夫人のお茶会に出かける支度をしますので……」

昨夜の晩餐会でダリラの妊娠を見抜いた侯爵マダムトリオの一人、トレーズ夫人。
晩餐会の後、お茶会に誘われたのだ。

「トレーズ夫人は噂好きなので、ダリラの件で何か聞いてくるかもしれません。どこまで話して良いでしょうか?」
「そうか、情報を得るにはこちらも提供せねばなるまい。
ダリラの子の父親の素性と、二人の関係性は恋人同士だったことは話して良いだろう」
「わかりました」

シャルロットは仕事に行くテオドールを見送った後、自室に戻った。
クローゼットを開けて眺める。

(お茶会だから重々しくない方が良いわね)

若草色のシンプルなドレスを着て、派手すぎないアクセサリーをつけたシャルロットは、馬車に乗り、トレーズ侯爵邸宅に向かった。

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