超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
『ぉええっ! がはっごほっ!』
子供が激しく咳き込む声の後、ガゼボの床に何かがころりと落ちた。
紫色の丸い実ーーブドウが一粒。
『キルケ! あぁよかった!』
カティア王女の、涙混じりの安堵の声。
「ーーという光景が視えました」
「成程。キルケ王子がガゼボでブドウの実を喉に詰まらせて、カティア王女が背中を叩いて吐き出させたのが真相か」
「おそらく」
テオドールが珍しく安堵の溜め息を深く吐いたので、シャルロットは少し驚いた。
「カティア王女はキルケ王子だけでなく、フィリス王国も救ってくれたな」
「?」
「もし他国の幼い王子が我が国に滞在中、我が国のブドウを喉に詰まらせて亡くなったら、大変なことになっていた。
しかも、次期次期国王。
間違いなく外交問題に発展していた。
戦争が勃発してもおかしくない」