超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

第14話 番外編 ユーリ視点

ユーリ・フォラツは柔和な顔立ちである。

人懐っこそうな垂れ目。
緩やかなアーチを描いた眉。
高いけれど小さな鼻。
口角の上がった、ぽってりとした唇。

すべて、母親であるレナ・フォラツ公爵夫人譲りだ。
柔らかにうねる金髪は、父親であるリュート・フォラツ公爵譲り。

両親からそれぞれ受け継いだユーリは、他者にふんわりとしたソフトな印象を与える。
口調ものんびりとして気さくなので、初対面でも話しやすいタイプだ。

ユーリは幼い頃、自分をかわいがる父に「どうして母上と結婚したの?」と尋ねたことがある。
父リュートは笑顔でこう答えた。

「婚約者候補の中で、一番柔和な顔だったから選んだ。外交には柔和な顔立ちが有利だからなぁ」

フォラツ公爵家は、代々外交官を務める家系だ。
ユーリの父リュートは、外交においてプラスに働く柔和な顔立ちの子供が欲しくて、レナを選んだのだ。

その事を知ったユーリは衝撃を受けた。
お付きのメイドが夫である執事と幸せそうに笑い合っているのを見て、父に質問をした答えがこれだったのだから。

(僕も父上も母上もみんな家の道具なんだ。それが貴族)

と幼いながらも悟ったのだった。

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