超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
公爵令嬢、侯爵令息、伯爵令息、侯爵令嬢、伯爵令嬢。
聞いた名前と爵位を次々と頭に叩き込む。

「ーーこれからも仲良くしてもらえるとうれしいな」
「も、もちろんです!」
「こちらこそですわ!」

パーティが終わる頃には、公爵令息なのに気さくで温和なユーリに皆メロメロになっていた。
父の言う通りに仲良くやれているのに、ユーリの心は冷えていくのを感じる。

自分もみんなも笑顔の仮面を被ってるようにしか見えなかった。

「私は別に君と仲良くしたくないので、お断りする」

きっぱりとした拒絶の声が響いて、ユーリは目を見開いた。
婉曲表現の会話が繰り広げられる社交場では、明らかに異質で。
ユーリ以外の子供達も、遠巻きに見守っている大人達もざわつく。

声が聞こえた方を見ると、泣きそうなのをこらえて必死に微笑を作る令嬢と、仏頂面の少年が向かい合っていた。

(なんだアイツ! あんな自分の感情丸出しでいるなんて、本当に貴族なの!?)

貴族は自身の感情をそのまま表情に出してはいけないルールなのに、少年ーーテオドールは不快な感情をそのまま顔に表していた。

「では失礼」

テオドールはそう言って、庭に出ていった。

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