超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました
「テオドール・グレイヴン公爵令息は変わり者だな。グレイヴン公と似ているのは、顔だけじゃないか」
「グレイヴン夫人がああいう性格だそうだ」

ひそひそと大人が話しているのが聞こえて、そこでユーリはテオドールの名前を知った。

(へえアイツ、テオドールって言うんだ。父親のグレイヴン公爵は裁判官。仲良くしといた方が良さそうだけど……)

きっぱりとした拒絶の言葉を思い出し、ユーリはぶるっと震える。

泣きそうになっていた令嬢も恐らく自分と同じように、親の命令に従っただけだろうに。

(もう少し様子を見よう)

その日、ユーリとテオドールは一度も言葉を交わさなかった。

◇◇◇◇◇

二度目の高位貴族の子供達だけの集まりは、お茶会だった。
王宮の庭でのガーデンパーティだ。
家庭教師やメイドが後ろに控えている。
これは交流に加え、デビュタント前にマナーを学ぶ場でもあるのだ。

テオドールは前回の行動が知れ渡ったのか、彼に積極的に話しかける子供はいない。
彼は周りが会話をしていても気にすることなく黙々と紅茶を飲み、サンドイッチやスコーンを食べていた。

(ふうん、所作は綺麗だな)

ユーリは適度に発言をしながら、テオドールを観察しているとガサガサと葉が揺れる音がした。

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