太陽と狐は「」をする
「ンン……ングゥ」

「あら、うなされてる……のかしら?
 ちょっと失礼するわね……あら」



 眠っている狐が少しうなされているように感じた灯は、狐の足を持ち上げる。
 そこには、赤黒い切り傷があった。
 その部分だけ毛が赤く染まっており、内側まで怪我をしている。
 もしかしたら屋敷内の罠か何かで怪我をしてしまったのかもしれないと思った灯は、自分の着ていた上着を一枚脱いだ。


 冬の朝。上着の下は部屋着であり、薄い生地は冷たい空気をよく通し、ひんやりとした冷気が体にまとわりつく。
 ただ灯にとって大切なものは上着よりも目の前の小さな命。痛々しい火傷跡に触れないように上着で狐を包んで抱き抱え、灯は静かに部屋へと戻っていった。
 


「狐に人間用の傷薬って使っていいのかしら……?!
 えっと、ガーゼは確かここに……」



 今まで使ったこともなかった救急箱を取り出し、四苦八苦しながら狐の治療をする。
 途中で薬を溢したりガーゼを破いたり包帯を変に巻いたりとトラブルはあったものの、ある程度は処置できたのではないかと灯は胸を撫で下ろす。
 狐はすやすやと寝息を立てており、この調子ならもうすぐ目を覚ますだろう。
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