クール王子は愛したがり
「ねぇ~、ふーじちゃん!」
善一郎が藤乃の肩を抱いて、顔を覗き込んできた。

「……っ…え…!!!?///////」
突然の行動に、藤乃は顔を赤くし固まってしまう。

それを見た絢世の表情が、一瞬で恐ろしく変化した。

まさに“鬼の形相”だ。

絢世は藤乃の肩を抱いている善一郎の手を掴むと、おもいきり捻り上げた。

「いってぇぇぇーーーーーー!!!!!?」

店内に響き渡るほどの善一郎の悲鳴。

「あーちゃん!!!折れる折れる折れる!!!!」

「は?
折ろうとしてるんだが?」

「あーちゃん!!ごめんごめんごめんごめん!!!
冗談だから…!!!!」

「冗談で済むか。
気安くフジに触るな。
フジが穢れる」

「アヤ!!
やめて!!!お願い!!!
ほんとに折れちゃうよ!!!」

藤乃が必死に止めに入り、なんとか善一郎は解放された。

「はぁぁ…痛かった……」

「善くん大丈夫!!?」

「う、うん…なんとか…(笑)」

「な、なんか、汗かいてるよ!!?
まさか、ほんとに腕折れたんじゃ……」

「いや、ほんとに大丈夫!
さっきマジで死にそうに痛かったから、冷や汗かいただけ…(笑)」

「だ、だったらいいけど…
…………もう!アヤ!ダメだよ!」

「なんで?」

「さっきのは冗談でしょ?」

「だから冗談で済むわけないだろ」

「………」

「フジ、はい」
藤乃に向かって両手を広げる、絢世。

「え?な、何?」

「消毒」

「え?消毒?」

絢世が藤乃を抱き締めた。

「え…//////
ちょっ…ちょっと!アヤ、こんな所で!!」

「消毒中」

「……//////
アヤ、ほ、ほんとに…やめて…//////
恥ずかし…//////」

「フジに触ったゼンが悪い。
フジだって、固まってただろ?」

「それは…」

「ごめんね、まさかゼンがフジに触るなんて思わなくて、警戒解いてた」

「大丈夫だから!
だから、もう…離して…///////」

半個室の席とはいえ、角度によっては他の客に見られている状態。
恥ずかしくて、藤乃は必死にもがく。

そして漸く離され、善一郎も「ごめんね」と謝ってきて、藤乃はほてった顔を冷やすため、トイレに向かった。



< 12 / 43 >

この作品をシェア

pagetop