クール王子は愛したがり
「あ、アヤ!」

席に戻ってすぐ、藤乃は絢世を呼んだ。

「ん?どうした?」
「なんか藤ちゃん、焦ってない?」

「もう、ここ出ない?」

「は?
まだ、煮込みハンバーグ来てないよ。
どうしたの?
酔った?
気分悪い?」
絢世が心配そうに頬に触れ、顔を覗き込んできた。

「あ、そうじゃなくて…」
(ど、どうしよう…
逆に心配かけてる…)

「あーちゃん、なんか藤ちゃん顔色悪くね?」

「そうだな。
フジ、帰ろう」

「あ、いや…」
(だから、そうじゃないのー!!!)

どう話せばいいかわからない。
とにかく、京滋と二人を会わせたくない。

嫉妬深い絢世と、琳子の元彼善一郎。
絶対に会わない方がいい。

そんなことを考えていると………

「あ、いた!
やっと見つけた!」

京滋が藤乃を追いかけてきたのだ。

「あ…け、京滋く……」
(なんで追っかけて来るのーーー!!!)

「は?誰だ?」
絢世の雰囲気が黒く染まる。

そして善一郎が「あ!お前…!!?リン泥棒!」と京滋を指差した。

「やっぱそうゆうことか!
藤乃がやけに焦るから」

「あ、あの、京滋くん、悪いんだけど帰って……」

「え?
一緒に飲もうよ!」

「………」
(仲良く飲めるメンバーじゃないじゃん!)

京滋はこうゆう男だ。
相手が誰であっても構わない。

全ての人間と仲良くしようとする、博愛者。

「は?
てめぇなんかと飲むか!」

「え?
琳子の元彼と藤乃の彼氏だよね?
俺は、仲良くなりたいんだけど」

「お前はバカなの?」

「バカ…ではないよ(笑)」

「リン泥棒と仲良く飲めるわけないだろ!!?
つか、こんなとこいないでリンの傍にいろよ!」

「……………そうゆうところだよ」

「は?」

「そうゆうところが、琳子の心を離したんだよ。
琳子の性格考えてみなよ。
琳子は縛られることがとにかく嫌いで、自由に羽ばたく鳥みたいな子。
籠の中に閉じ込めたら、ストレスが溜まって好きだったはずの君のことが嫌いになる。
琳子が好きなら、自由にさせてあげるべきだったんだ」

「うるせぇよ…」

「藤乃」

「…っえ!?」
突然、振られビクつく藤乃。

「藤乃も“我慢しちゃダメだからね?”」

「え?」

「藤乃、本当はこんな店嫌いだろ?
静かに、穏やかに本が読めるような所が好き」

「う、うん。
でも今日は、善くんのその…傷心を…」

「そっか(笑)
相変わらず優しいね…!」
ふわりと微笑む京滋。
藤乃もつられるように微笑み返す。

そして京滋が、藤乃の頭を撫でようと手を動かす。

すかさず、絢世がその手を掴んだ。



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