クール王子は愛したがり

〜絢世 side〜

俺は本気で、フジ以外の人間がいなくなればいいと思っている。


俺にとって、フジと二人でいる時が一番幸せな時間だ。

特に、フジを抱いている時。
だって繋がっていると、本当に一つになれたような感じがするんだ。

それにフジは俺からのスキンシップ全てに対し、いつも嬉しそうにしている。
抱いている時も、恥ずかしそうに顔を隠しながらも、幸せそうな顔をする。

だからそうゆう時は、俺自身も“フジは俺だけのモノ”だと認識出来るから。

フジと離れる朝の電車内から、フジと会えるY大のカフェまでの時間は地獄のような時間だ。

特に俺の通っているS大学内は、鬱陶しい。
100歩譲ってゼンはいいとして、他の奴等はウザくて堪らない。

周りでコソコソして、中にはずっとついてくる奴等もいる。


「あーちゃーん!
今日、飲み行こー」

「嫌」

「えーいいじゃん!
藤ちゃんいないんだし」

「………は?」

「ん?」

「お前なんでそのこと知ってるんだ?」

「この前ランチして、大学に送ってる時に言ってた。
実家でお袋さんとご飯食べるんでしょ?
久しぶりにお袋さんに会うって言ってたから」

「………」

「ねー、付き合ってよー
寂しいぃーーー!」

前言撤回。
やっぱり、こいつもウザい。


大学を終え、フジを駅まで送る。
「じゃあ、帰る時連絡して?
迎えに行く」

「うん、わかった!
ごめんね…いつもなら、アヤも一緒にって言ってくれるんだけど、今日はなんかダメみたいで……」

「ううん。
なんか、重要な話があるかもだし…」

俺が“フジ以外いなくなればいい”なんて言ったから、最近妙に気を遣ってくるフジ。

あれはただの俺の願望で、叶うわけのない夢。

でもそんな非現実的なことさえも、ピュアで誠実なフジは近づけようとしてくれる。

ほんっと可愛くて、愛しくて、最高の女だ……!

切ない表情をするフジを安心させるように俺は微笑んだ。



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