クール王子は愛したがり
ゼンがうるさいので、しかたなく一緒に居酒屋に行くことした。

「藤ちゃんって、ほんと可愛いな!」

フジと別れて、居酒屋に向かう途中。
ずっと後ろから俺とフジを見ていたゼンが微笑み言った。

「………」

俺はその笑顔に、とてつもない怒りが湧いた。

こいつ……

「あーちゃんと離れたくないって顔に出てた(笑)」

「お前、フジのこと好きなの?」

「は?」

「俺と同じ顔してる」

「はい?
俺、あーちゃんみたいにカッコいーの?(笑)」

「違う。
フジに惚れてる顔」

そこまで言うと、ゼンが突然立ち止まった。
思わず振り向くと、ゼンは真剣な顔をしていた。

そして「“惚れてる”って言ったらどうすんの?」と問いかけてきた。

俺も向き直って「二度と二人を会わせない」と返す。

「…………好きだよ、藤ちゃんのこと」

「………」

「………」

「………」

しばらく俺とゼンの間がシン…と静まり返って、ゼンがフッ…!と噴き出した。

「でも!
それは、あくまでも“友達として”だし(笑)」

「それ、意味がわからないんだが」

「何?」

「友達としてって、どうゆう意味?
友達としてでも、そうじゃなくても男と女だろ?」

「じゃあ、あーちゃんはリンのこと意識してんの?」

「そもそも俺は、フジ以外の人間を好きだと思ってない」

「ふーん…
でも俺が惚れてるのは、リンだよ?」

「………」

「だから、リンを取り返そうと思ってさ。
それもあって、今日あーちゃんに話聞いてほしくて誘った」

それを聞いて、俺はフジの言っていたことを思い出していた。


『私、やっぱり琳ちゃんには善くんが合うと思う。
私からすれば、善くんは嫉妬深いとは思わない。
琳ちゃん縛られるの嫌って言ってるけど、そのわりには寂しがり屋だし…
なんだかんだいって、今までずっと善くんとはいい関係を続けていけてたんだし…
だからね。
私、琳ちゃんに話してみようと思うんだ!』

あの時“ゼンとリンのことなんかどうでもいいじゃん”って思ってたから、話を半分くらいしか聞いてなかったけど……
フジの言っている意味はわかる。



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