クール王子は愛したがり
「――――……ちょっと!あーちゃん聞いてる!?」

そんなことを考えていると、ゼンが声を上げてきた。

「うん。
リンにはゼンがお似合いだと思う」

それ以前に俺、あいつ嫌いだし。

「だろ?」

ゼンが嬉しそうに笑う。
そして「だからさ!協力してよ!」と言った。

「は?」

「あーちゃんと藤ちゃんペアでさ!」

「………面倒だから嫌だ」

「頼むよぉ〜」

「嫌」

「でも、藤ちゃんならきっと協力してくれるよ!」

「関係ないフジを巻き込むな」

「関係なくないじゃん。
俺と藤ちゃんは親友なんだから!
藤ちゃんだって、応援してくれるはず!」

「は?キモいぞ、お前」

「どこが!!
読んで字のごとく“親しい友”じゃんか!
恋愛感情がなくても、俺達はわかり合ってんだよ!!」

「………」

あー、本当にウザい奴だ……


特に楽しくもない時間をゼンと過ごし、やっとフジから連絡が来た。

【今から帰ります♪】

俺はすぐにフジに電話をかけた。
『もしもし、アヤ?』

「フジ、今何処?」

『あ…電車なの…
だから、電話は…
●●駅で降りるから』

さっきフジと別れた駅だ。

「わかった。
じゃあ、駅で」

ゼンと別れて、駅に向かう。

駅に着くと、フジが男に声をかけられていた。
俺の中で、怒りが沸々と沸いてくる。

俺はフジと男の間にすり抜けるように入って、フジに微笑んだ。
「フジ、お待たせ」

「アヤ!
あ、アヤ、後ろにいる人…」

「“そんなことより”帰ろ?」

「あ、あのね!」

「何?」

「こちらの人、澤仲(さわなか)さんっていって、お母さんの……彼氏さんなんだって」

「は?」

彼氏?
あの過保護で、フジをなかなか離さなかった母親が?

そこで、男に向き直る。
爽やかで優しそうな男だった。

「絢世くん…だよね?
藤乃ちゃんから、凄く素敵な彼氏って聞いたから会ってみたくて!
郁乃(いくの)さん(藤乃母)も、褒めてたし」

「………」

こいつは、何を考えているのだろう?
フジのお母さんから金を騙し取ろうとしてる?
いやでも、フジのお母さんは正直役職を持ってるわけじゃないし、給料も凄くいいわけでもない。

いや、待てよ。
金持ちかなんて、詐欺師には関係ないか。

要は、騙せるか騙せないかだよな…

「なんか、警戒されてるみたいだね(笑)」

「そうですね。
フジ、嫌なら嫌って言いな」

「え?」

「そもそもフジは、お母さんに彼氏が出来るなんて受け入れられるの?」

「それは……」

「とりあえず、帰ろ?」

俺はフジの手を引き、駅に入った。




< 30 / 43 >

この作品をシェア

pagetop