クール王子は愛したがり
絢世はとにかく、人嫌いだ。
大学内でもほぼ一人でいて、善一郎としか話さない。

絢世にとって“藤乃だけが”特別だ。

大学に着くとまずは煙草を吸い、講義室に向かう絢世。
端の目立たない席に座った。

そんな絢世を見ながら“カッコいいよね〜”などと口々に話す学生達。

「彼女ってどんな子なんだろ?」
「Y大の子って噂だよ」
「嘘…!?
レベル、違いすぎじゃん(笑)」

そこに善一郎が現れて、隣に座った。
「あーちゃん、レポートした?」

「うん」

「見せてー!
写すから〜」

「は?
ダメだろ、それ」

「いいじゃん!
もちろん、丸写しはしないからー」

「そうゆう問題じゃねぇよ」

「だって〜
俺は今、それどころじゃないしぃー」

「は?」

「リンのフォローで忙しいんだよ!
バイトの時間も増やさねぇとだし!」

「とりあえず、親に頼るんじゃなかったの?」

「それはそうだけど…
やっぱ、ちゃんとしたいじゃん?」

「………」

「ん?あーちゃん、何?」

「お前、逞しくなったな」

「そう?
まぁね〜
ほら!俺、父親になるわけだしさ!」

「だったら、レポートくらいちゃんとしろよ」

「うるさいな!
藤ちゃんに言いつけるよ!!」

「は?
お前、何かってゆうとフジの名前出すよな」

「だってぇー、あーちゃんには“それしか”効かないだろ?」

「フッ…そうだな」


そして………講義を終え、善一郎と一緒に大学を出ようとする絢世。

そこに「絢世くん!」と呼び留められる。

二人が声を方を見ると、小津が立っていた。

「小津じゃん!
久しぶりー」

小さく手を振る善一郎と、不機嫌になる絢世。
無視をして、歩き出す。

「ま、待って!!」
そんな絢世の前に回り、呼び留める小津。

「は?なんだよ」

凄まじい絢世の雰囲気に怯えながらも、見上げて「き、今日の同窓会のことだけど…」と切り出す。

「は?」

二、三ヶ月くらい前に、高校の同級生から同窓会の誘いが来ていた絢世。
行くつもりなかったが、藤乃に「せっかくだし行ってくればいいのに」と言われてしまい、嫌々ながら出席する。

「一緒に行かない?」

「は?」

「駅で待ち合わせて」

「………」

「あ、絢世くん?」

「お前、それで俺が行くって言うと思ってるのか?」

藤乃に“行け”と言われて不機嫌なのに、こんな風に呼び留められて更に怒りが湧く絢世。

そう小津に言い捨てて、大学を出ていった。




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