クール王子は愛したがり
Ⅵ
絢世はとにかく、人嫌いだ。
大学内でもほぼ一人でいて、善一郎としか話さない。

絢世にとって“藤乃だけが”特別だ。

大学に着くとまずは煙草を吸い、講義室に向かう絢世。
端の目立たない席に座った。

そんな絢世を見ながら“カッコいいよね〜”などと口々に話す学生達。

「彼女ってどんな子なんだろ?」
「Y大の子って噂だよ」
「嘘…!?
レベル、違いすぎじゃん(笑)」

そこに善一郎が現れて、隣に座った。
「あーちゃん、レポートした?」

「うん」

「見せてー!
写すから〜」

「は?
ダメだろ、それ」

「いいじゃん!
もちろん、丸写しはしないからー」

「そうゆう問題じゃねぇよ」

「だって〜
俺は今、それどころじゃないしぃー」

「は?」

「リンのフォローで忙しいんだよ!
バイトの時間も増やさねぇとだし!」

「とりあえず、親に頼るんじゃなかったの?」

「それはそうだけど…
やっぱ、ちゃんとしたいじゃん?」

「………」

「ん?あーちゃん、何?」

「お前、逞しくなったな」

「そう?
まぁね〜
ほら!俺、父親になるわけだしさ!」

「だったら、レポートくらいちゃんとしろよ」

「うるさいな!
藤ちゃんに言いつけるよ!!」

「は?
お前、何かってゆうとフジの名前出すよな」

「だってぇー、あーちゃんには“それしか”効かないだろ?」

「フッ…そうだな」


そして………講義を終え、善一郎と一緒に大学を出ようとする絢世。

そこに「絢世くん!」と呼び留められる。

二人が声を方を見ると、小津が立っていた。

「小津じゃん!
久しぶりー」

小さく手を振る善一郎と、不機嫌になる絢世。
無視をして、歩き出す。

「ま、待って!!」
そんな絢世の前に回り、呼び留める小津。

「は?なんだよ」

凄まじい絢世の雰囲気に怯えながらも、見上げて「き、今日の同窓会のことだけど…」と切り出す。

「は?」

二、三ヶ月くらい前に、高校の同級生から同窓会の誘いが来ていた絢世。
行くつもりなかったが、藤乃に「せっかくだし行ってくればいいのに」と言われてしまい、嫌々ながら出席する。

「一緒に行かない?」

「は?」

「駅で待ち合わせて」

「………」

「あ、絢世くん?」

「お前、それで俺が行くって言うと思ってるのか?」

藤乃に“行け”と言われて不機嫌なのに、こんな風に呼び留められて更に怒りが湧く絢世。

そう小津に言い捨てて、大学を出ていった。




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