クール王子は愛したがり
「え……あ…あ…絢世、く……」
怯えながら後ずさる、小津。

「なんだよ。
言いたいことあるなら、いっそのこと全部言ったらどうだ?」

「あ…いや、何も……」

「そうか。
じゃあ、今度は俺のターンだな」

「え……?」

「お前、いい加減気色悪い。
高校ん時からストーカーみたいに付き纏って、一時期勝手に“絢世くんの彼女”って言いふらしてたよな?
フジと付き合いだしてから、フジの実家もつきとめて数カ月くらい観察してたこともあるだろ?
フジのお母さんが気持ち悪がってた。
フジは知らないけど、その時のお前の写真と動画、お母さんに撮られてるから。
その動画見せてもらったけど、かなり気持ち悪かった。
カゲからずっとマンション見てて、ほんとストーカーみたいだった。
頼むから早く消えてくれ。
俺の前からも、フジの前からも」

「………」
何も言えなくなり、項垂れる小津。

「…………ゼン、俺帰るから。
ストーカーと同じ空気吸いたくない」
絢世は出入り口に向かう。
そして出ていく前、一度振り返り言った。

「もし今後、俺やフジの前に現れたら……
その時の動画をフジのお母さんにシェアしてもらって、俺がSNSで流すから。
バカなお前でもわかるよな?
あの動画が流されたら、もう外歩けない。
ほんと、気色悪いから」

ガシャン…と店のドアが閉まると、小津からみんなが離れ始めた。
小津といた友人達も、引いたように「ごめん、私達も帰るね」と言った。

それから……完全にしらけてしまい、同窓会はお開きになったのだ。


はぁぁ……と大きなため息が出る。
絢世は“やっぱ、行かなきゃよかった”と後悔していた。

ただでさえ藤乃と離れて辛いのに、その藤乃の悪口を聞かされ更に辛さが増している。

藤乃に“今から帰る”と、メッセージしようとしてスマホを操作する。

すると、藤乃からメッセージが入っていた。

【アヤ、楽しんでるかな?
いつ頃帰ってこれそうですか?】

すぐに電話をかける。

『アヤ?』

「今、帰ってるからね。
今なら、電車もすぐあるから30分くらいで帰り着けるよ!」

『そっか!
フフ…良かった!』

「ん?フジ、どうした?」

『あのね。
自分が“行っておいで”って言ったクセに、早くアヤに会いたいなって思っちゃって……(笑)』

「フフ…そっか!」

『ワガママでごめん(笑)』

「ううん!
僕も、早くフジに会いたい!」

通話を切り、絢世は満たされた気分になっていた。



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