生真面目秘書だった彼がハイスペ副社長になって滾る執愛を刻み込んできます
 また香梨奈のせいで引っかき回される人生になるかと思うと、お先真っ暗だ。
 その予想は、すぐに的中した。

 香梨奈の帰国を喜ぶ両親は、あたり前のように理彩子に言い放ったのだ。

『もともとあの会社は香梨奈のモノだったんだ。理彩子は代打だったんだから、社長の座を譲って立ち去りなさい。お前が会社に居座ると、新社長に立つ香梨奈がやりにくくなるから』

 決定事項のように言われて、がくぜんとしてしまった。

 会社運営は素人ながらも必死に食らいついてきたという自負がある。
 その成果は数字と事業規模拡大として現れていて、それは両親だって認識しているはずだ。

 それなのにその努力や成果を褒めず、すぐさま社長の座を譲れと言ってくる。それは、あんまりではないか。

 たしかに、理彩子ひとりの力でKASHIWA雑貨を大きくしたわけではない。
 だが、まだまだやり残したことがあるし、もっと会社を大きくしたいと考えていた。
 それなのに、志半ばで社長を退任させられたくはない。

 そんなふうに両親に訴え、反発をした。しかし、理彩子の気持ちは残念ながら届かなかった。

『香梨奈が、かわいそうだとは思わないのか? 離婚で傷ついているのだから、社長の座ぐらい譲りなさい』
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