生真面目秘書だった彼がハイスペ副社長になって滾る執愛を刻み込んできます
 だが、この五年間で理彩子は成長した。自信を持って言える。
 不敵に笑う理彩子を見て、光輝は右眉を少しだけ上げた。

 だが、表情の変化があったのはそれだけ。すぐにいつも通りのクールな表情へと戻る。
 フレームなしのメガネのブリッジに指を添えると、クイッと上げた。

「かしこまりました。では、先方には連絡しておきます。場所は私が選定してもよろしいでしょうか?」

 彼のことだ。理彩子に危険が及ばぬよう、完璧な場所を考えてくれるだろう。

「ええ、お願い。あと、先ほどの会議で――」

 彼と話しながら営業部の辺りまでやって来ると、ちょうどオフィスから営業部長である重田が出てきた。

「会議お疲れさまです」

 ところどころ白髪交じりになってきた重田は、いつも通り穏やかなほほ笑みを浮かべている。

 物腰やわらかい人物ではあるが、なかなかなキレ者だと理彩子は知っていた。
 陰のボスであり、営業や経営など多岐に渡ってこなすすごい人である。

 この人物にも、どれほど助けられたかわからない。

 恩人と呼べる重田は、理彩子と光輝を見て意味深な視線を向けて笑いだした。
 どうしたのかと問いかけると、彼は営業部のオフィスを指さす。

 
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