これは私が望んだ復讐です
2話 馬鹿げた婚約破棄
「なにをおっしゃっているのですか? 王族との婚約は、一人の意見では破棄できませんわ」
「まだそんなことを言っているのか! いいか? 君が私をないがしろにし、侮辱したのだ! これは王家への反逆罪と言ってもいい!」
「なにを馬鹿げたことを! わたくしは殿下を侮辱したことはありません! それどころかあなたの役に立とうと、王妃教育や聖女としての務めを――」
「ああ! またそれか! なにかと言えば『殿下のため』『聖女として』だ。君はそれしか言えないのか?」
吐き捨てるようにそう言うと、殿下は妹の肩を抱いた。すぐさまシャルロットに極上の笑みを向け、私のほうを振り返る。
「本来なら君を国外追放にしたっていいんだ。だがな、君の妹のシャルロットがそれだけは止めてくれというから、許してやったのだ。そんな妹の優しさもわからず、恥ずかしくないのか!」
殿下の隣にいるシャルロットの今日の装いは、可憐な令嬢といった様子だ。胸の谷間がはっきり見えるいつものドレスは封印し、いかにも清楚で殿下に守ってもらって当然という顔をしている。
そんなシャルロットは肌ツヤも良く、金色の巻き髪がまばゆいほどに光り輝いている。胸元に光る宝石は、殿下が贈ったか、はたまた父親か。私が見たことないほどの大きさで、これまた当たり前のように身に着けていた。
反対に私はドレスや髪型だけは綺麗に整えられているけれど、詰め込みの王妃教育で今日も寝不足だ。化粧で隠しても目立つ、目の下のクマ。国の結界に連日魔力を吸い取られているので、肌もボロボロ、髪の毛もバサバサだ。
もちろんあんな大きな宝石など持っていない。母の形見のガーネットだけが胸元に光っていた。