これは私が望んだ復讐です

3話 自分勝手な婚約者

 
「殿下、お待ちください! スカーレット様はモーガン侯爵家のご令嬢です。勝手に国外追放などしては大問題になります」


 あわてふためきオーエン殿下を止めるのは、この国の宰相だった。今夜の夜会はオーエン殿下主催だったため、陛下と王妃様は顔を見せない。主催といっても私が指示を出し、準備したものなんですけど。


 それすらも誰かがしているだろうと思ってなにも感じていないオーエン様は、割って入ってきた宰相をジロリと睨んでいる。


「宰相! なにを言う。スカーレットは私を愚弄したのだぞ!」
「い、いいえ……そのようなことは。それに婚約を破棄することは、殿下の一存では……」


 コソコソと周囲に聞こえないよう配慮しているつもりらしいが、皆が聞き耳を立てている。


 だいたいこの夜会だって、未来の王太子夫妻である私たちの技量を試されている場なのだ。


 ――結局大恥をかいて大失敗でしたけど。本当にこの場をどうすればいいのか、私にもわかりませんわ。


 するとそんな殺伐とした場に、殿下の名を呼ぶ甘ったるい声が響いた。妹のシャルロットだ。


「あのぅ、オーエン様。わたくし、もう疲れてしまいました。お部屋に戻りませんか?」


 妹のその提案に私だけじゃなく、宰相もそして周囲の人も言葉を失っている。婚約者でもない、しかもその家族である未婚の女性が部屋に誘うなどあってはならないことだ。


 ――王宮では見逃されていたから、わからなくなっているのかしら? さすがにこれは注意しないと!


 しかし私がシャルロットに近づこうとすると、先にオーエン殿下が妹をかばうように立ちはだかった。

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