これは私が望んだ復讐です
「スカーレット! 今宵のおまえの愚行はシャルロットに免じて不問にする! とにかく婚約者はおまえではなく、シャルロットだ。さあ、愛しの姫。部屋に戻ろう」
「で、殿下! お待ちを! 今日の主催は殿下なのですぞ!」
「うるさい! 私はもう挨拶を終えた。あとは好きにすれば良いだろう」
オーエン様の頭には、もうシャルロットとの睦み合いしかないのだろう。宰相様のことを手で追い払う仕草をし、招待客に背を向け私室に戻ろうとしている。
――もうここまで見られたら、取り繕いようがないわ
諦めた私は招待客に向かって騒がせたことを謝罪し、宮廷楽団に演奏をお願いする。恥ずかしいことに殿下が最初に挨拶をしてすぐにあの様な騒ぎを起こしてしまったので、音楽も流れていなかった。
「宰相様、パートナーのいないわたくしがこの場にいたら、皆様楽しめないと思うのです。申し訳ないのですが、わたくしもお部屋に下がらせていただきます。なにかありましたら、すぐに動きますのでよろしいでしょうか?」
「ええ! それはもちろん!」
――きっと私が出ていったらすぐに噂が始まるわね。はあ……嫌な夜だわ。
それでもこのホールを去るまでは、令嬢らしくしておかねばならない。私は口元に微笑みを浮かべ、通り過ぎる人に軽い挨拶をして歩いていく。
そしてようやく誰もいない廊下に出た時だった。曲がり角から急に人が出てきて、私の体にぶつかった。