『不倫してた女ですが、泣いてもいいですか?』
3 ◇高みの見物


『あ~あ、いつまで同じ押し問答をを続ける気?  
岡島くんも、もういい加減私とのことを奥さんに白状すればいいのにさ』

 私は岡島くんの気持ちを知っているので、必死になっている奥さんを見ていて
顔がにやけてしまう。

 もうすぐあんたは岡島くんから捨てられんのよ~。
 ご愁傷様~。


 私は高みの見物をするとしましょうか。

 私が彼の奥さんになったら、少しくらいの女性関係には目を瞑るけど。
 
 こんな目の前にいる奥さんのようにギャアギャア言って彼を追い詰めたりしなぁ~い。

 私は修羅場にいるけれど、まるで実感が伴わずにいた。
 そう、他人事である。

 ふたりの終わらなさげな遣り取りに、退屈過ぎて欠伸をかみ殺して聞いていた。
 
 罪悪感?

そんなものぉ~、微塵もないっ。

『早く、奥さんなんて彼から捨てられればいいのよ』
 そんなことを念じていたような気がする。

 そしたら岡島くんは私だけのものになる。
 正妻になれるかもしれない時が一刻一刻近づいている。

 奥さんも馬鹿だよね~。
 ギャアギャア騒がず大人しくしてりゃあ、しばらく正妻の座が保てたかも
しんないのにね。


「ところで──
あなた(岡島省吾)、浮気はこの女だけじゃないでしょ? あと何人いるの?」


 奥さんの口からとんでもないことが──
物騒(不快)な言葉が──

飛び出してきた。  



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