クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
「……たぶん俺は、りんりんが何かしてくれない限り、一生そのままだった」
「えー、それは酷いです。私ばっかり頑張ったみたいじゃないですか」
「……実際、かなり頑張ってただろ、りんりんは」

「……っ」

真っ直ぐそう返されて、返す言葉が見つからなくなる。

謝罪の場を無理に外での食事にしたことも。
バーまで引っ張っていったことも。
……最後のわがままで私の家まで送ってもらったことも。

……私がどれだけ必死だったか、先輩には全部分かってたんだ。
なぜか恥ずかしくなって顔を隠そうとすると、先輩が小さく笑った。

「……でも、助かったよ」
「……え?」
「……りんりんが来てくれなかったら、たぶん俺は、一生後悔してた」

その声は静かだったのに、胸の奥へまっすぐ落ちてきた。
私は何も言えなくなって、ただ先輩にそっと抱きついた。
先輩の腕が、強く私の背中を抱き寄せる。

その強さが嬉しくて……この瞬間が、永遠に続けばいいのにって思う。
まだ、誰にも知られたくない。この幸せは、二人だけのものにしておきたい。

……でも、その瞬間。
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