クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
執務室を回り、居残っていた制作のデザイナーや、奥の休憩スペースでたまたま遅くまで起案を練っていた営業部の課長に声を掛ける。

そして——。

「……ほら見ろ、言わんこっちゃない! だから前例のないことはリスクがあると言ったんだ!」

会議室に籠っていた部長に事情を説明した途端、鋭い叱責が飛んできた。当然の反応だ。
……普段の俺なら、上層部を現場の尻拭いに巻き込むような非合理的なマネは絶対にしない。だが、俺は深く頭を下げた。

「おっしゃる通りです。私の監督不届きです。……ですが、あの企画の完成度は部長もご存知のはず。あんなミス一つで潰すには、惜しすぎるんです。今夜だけは……部長の腕が必要です。どうか、力を貸してください」

沈黙が落ちる。
どれくらい頭を下げていただろうか。やがて、頭上から大きなため息が降ってきた。

「……ったく。お前にそこまで頭を下げられちゃあ仕方ない。時間がないんだよな、さっさと行くぞ!」

「部長、ありがとうございます」
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