【凛視点】クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#2 無口な先輩の不器用なエール。ブラック派の彼が選んだ「甘い」贈り物
プレゼンのミスから、三日が経っていた。
あの日、先輩に「俺のミスだ」と庇ってもらって以来、私の頭の中では同じ場面が何度もリプレイされていた。
涼しい声。動揺のかけらもない横顔。エレベーターの中で、小さく首を振った仕草。
(資料自体は、とても良かったよ)
怒られると思っていた。冷たく突き放されると思っていた。
なのに先輩の口から出てきたのは、叱責じゃなくて——謝罪だった。
私は自分のデスクで、またその記憶を反芻しながら、ふうと小さく息を吐き出した。
(……まだ、ちゃんとお礼も言えてないな)
あれから先輩とは、事務的なメールのやり取りが数回あっただけ。広いフロアの向こう側に、いつも通りの姿が見える。近づきたいような、でも何を話せばいいか分からないような、妙な距離感がずっと続いていた。
あの日、先輩に「俺のミスだ」と庇ってもらって以来、私の頭の中では同じ場面が何度もリプレイされていた。
涼しい声。動揺のかけらもない横顔。エレベーターの中で、小さく首を振った仕草。
(資料自体は、とても良かったよ)
怒られると思っていた。冷たく突き放されると思っていた。
なのに先輩の口から出てきたのは、叱責じゃなくて——謝罪だった。
私は自分のデスクで、またその記憶を反芻しながら、ふうと小さく息を吐き出した。
(……まだ、ちゃんとお礼も言えてないな)
あれから先輩とは、事務的なメールのやり取りが数回あっただけ。広いフロアの向こう側に、いつも通りの姿が見える。近づきたいような、でも何を話せばいいか分からないような、妙な距離感がずっと続いていた。