契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
「なら、支障が出ないようにすればいい」

その一言が、逃げ道を塞いだ気がした。

「では、条件を提示する」

社長は机の上に一枚の書類を置いた。

「……契約書、ですか?」

「形式だけだがな。曖昧なまま進めるつもりはない」

私は書類に目を落とす。

簡潔で無駄のない内容。いかにもこの人らしい。

「期間は三ヶ月。状況によっては延長もあり得る」

「三ヶ月……」

短いようで、長い。

「報酬は月額で支払う。通常業務とは別枠だ」

提示された金額に、思わず指が止まる。

「……ここまでの額、必要ですか?」

「必要だ。対外的なリスクもある」

淡々とした説明。

「それからルールだ」

彼は私の反応を気にする様子もなく続ける。
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