契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
「……評価していただいているのは光栄ですが、役割が違います」

私は視線を逸らさずに返す。

仕事の延長であっても、これは踏み込みすぎている。

「これは業務の一環だ」

低く言われる。

「期間限定、条件も提示する。おまえに不利益は出さない」

「そういう問題では……」

言いかけて、言葉が止まる。

「じゃあ、何が問題だ」

静かに問い詰められる。

「……私が、社長の“恋人”として振る舞うことです」

「それの何が問題だ」

あまりにも当然のように言われて、胸の奥がわずかに揺れる。

「距離が近すぎます」

正直に答えた。

「それは、困るか」

社長の低い声。私はわずかに息を整えた。

「……業務に支障が出る可能性があります」

そう言い切ると、社長はわずかに目を細めた。
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