契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
「業務時間外でも同行を求める場合がある。会食、パーティー、その他必要な場面だ」

「……承知しました」

「人前では恋人として振る舞う。距離感も含めてだ」

「距離感、というと?」

「手を取る、隣に座る、その程度だ」

その言葉に、胸がわずかにざわつく。

「プライベートへの干渉はしない。ただし、契約中は他の男と交際は控えろ」

「……それは、必要な条件ですか?」

思わず問い返す。

「ああ。矛盾が生じる」

迷いのない答え。

私は一度、視線を落とす。合理的ではある。けれど——。

「最後に」

社長の声で、再び顔を上げる。

「契約は、こちらの判断で終了する場合がある」

「……こちらの、というのは?」

「俺の判断だ」

きっぱりと告げられる。

「もちろん、おまえからの申し出も受けるが」
< 11 / 30 >

この作品をシェア

pagetop