契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
期間は三ヶ月。

報酬は、正直破格。

それだけでも、引き受ける理由としては十分すぎる。

「お金だけなら、迷う必要ないけど……」

小さく呟いて、視線を落とす。

問題はそこじゃない。

“恋人役”という言葉が、頭から離れない。

「……ただの演技、よね」

人前でそれらしく振る舞うだけ。

それ以上でも、それ以下でもない。

手を取る、隣に座る。

その程度だと言っていた。

「余計な接触もない、はず……」

自分に言い聞かせるように、もう一度繰り返す。

社長と秘書。

それ以上の関係になるわけがない。

なら、何を迷う必要があるのだろう。

「……仕事の延長、でいい」

そう思えば、気持ちは少しだけ整理される。

それに——。

「断ったら、どうなるの」
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