契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
「……まだです」

「だろうな」

短く言って、内線に手を伸ばす。

「軽めの食事を用意してくれ。今すぐだ」

「社長、それは——」

「いいから」

遮られる。

「業務に支障が出る方が問題だ」

「……承知しました」

納得したわけじゃない。

けれど、これ以上拒む理由もない。

数分後、温かいスープとサンドイッチが運ばれてくる。

「食べろ」

「ここで、ですか?」

「問題あるか」

「いえ……」

戸惑いながらも、スプーンを手に取る。

「……美味しいです」

口にすると、思った以上にほっとした。

「そうか」

それだけの返事。それなのに、どこか安心する。

「清水」

名前を呼ばれて顔を上げる。

「無理をしている自覚がないのが一番厄介だ」

「……そんなことは」

言いかけて、言葉が止まる。
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