契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
「そう見えるなら、それでいい」

それ以上は何も言わない。

私はスープを口に運びながら、静かに息をつく。

——これは、ただの仕事。

そう思っているのに。

その優しさだけが、どうしても“それ以上”に感じてしまうのだった。

「清水、この後の予定は」

執務室で声をかけられ、私はすぐにタブレットを開いた。

「十五時から打ち合わせ、その後、十八時に会食が入っています」

「……会食は、誰とだ」

「取引先の——」

言いかけて、視線が少しだけ強くなるのを感じた。

「変更できるか」

「え?」

思わず顔を上げる。

「重要な案件ですので、難しいかと」

「そうか」

それだけ言って、社長は黙り込む。

けれど、どこか納得していない様子だった。

「何か、問題でも?」

仕事として確認する。
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