契約恋人のはずでしたが社長に溺愛されて離してもらえません
「……いや」

短く否定されるが、その声はいつもよりわずかに低い。

「では、予定通り進めます」

そうまとめようとした瞬間。

「清水」

再び名前を呼ばれる。

「はい」

「昼は空いているか」

一瞬、言葉に詰まる。

「昼、ですか?」

「ああ」

「特に予定は入れていませんが……」

「なら、一緒に取る」

迷いのない口調。

「……それは、業務の一環ですか?」

思わず確認する。

「そうだな」

わずかに考えるような間。

「そういうことにしておけ」

曖昧な返答。

けれど、断れる雰囲気ではない。

「……承知しました」

——昼休憩。

社内のカフェスペースに向かうと思っていたが、案内されたのは外のレストランだった。
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