黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「あの、でも、訴えるまでしなくていいので」

私の無罪さえ証明されればいい。
もう辞めて縁も切れるのだからこれ以上、関わるのも嫌だった。

「大丈夫だ、夏初はなにもしなくていい。
僕に任せろ」

彼が私の手に自分の手を重ねる。

「それにああいう会社は一度、痛い目を見ないとまた同じことを繰り返す。
これ以上、夏初のような被害者を出さないためでもあるんだ。
だから、ね」

レンズの奥の瞳が諭すように私を見る。
確かに彼の言うとおり一度、訴えられればあの査問会のような行為はなくなるかもしれない。
そうなれば鳥越くんたちは助かるかも。

「そう、ですね。
よろしくお願いします」

頭を下げてペンを取る。
けれどどうしてか、納得はしたものの先ほどの晴貴さんの説明はただの建前な気がしていた。

朝食のあとは病院へ行く。
すでに晴貴さんが付き合いのある病院の予約を取っていてくれていた。

「思ってたよりダメージ、負ってました……」

「気づけただけよかったよ」

会計を待ちながら晴貴さんが指を絡めて手を握ってくれる。
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