黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
実は自覚がないだけで本当の私はここに書いてあるとおりなのでは。

その考えに到達する。

「そこまでだ」

唐突にタブレットが取り上げられ、それを追う。
いつの間にか晴貴さんが帰ってきていた。

「タブレットなんて渡すんじゃなかったな」

呆れるようにため息をつき、彼がそれをライティングデスクに置く。

「夏初はあんなもの、見る必要はない」

「でも!
あそこに書かれているのは、私が知らない私の本当の姿だから、私は知らなきゃ……」

「夏初」

静かな、けれど重い声に名前を呼ばれ、びくりと身体が震えた。

「あれは本当の夏初じゃない。
ただの誹謗中傷だ」

「でも」

「僕とあの女、どっちを信じるんだ?」

じっと彼が私を見つめる。
レンズ越しに見える瞳は怒りと悲しみの混ざった色をしていた。

「……晴貴、さん」

少し躊躇したあと、口を開く。
なんとなく気まずくて目を逸らした。
もう一年以上の付き合いになる篠木さんとまだ出会って一週間も経たない晴貴さんなら普通、篠木さんを選ぶものだろうが、その人となりから晴貴さんのほうが信じられる。

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