黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「だろ?
あんな女の言うことなんて、信じる必要はない」

「……うん」

彼に抱きしめられ、甘えるように額を胸につけた。
彼の香りを吸い込むと、心に染みて入っていた罅を癒やしていった。

「夏初は僕だけを信じていたらいい」

心の麻痺している私は、晴貴さんの甘い言葉になにも考えず溺れていく――



次の日、晴貴さんが早退できたので携帯を買いに行った。

「こんなにしょっちゅう、休ませてすみません」

助手席で小さくなる。
ここ数日で何度も半休や中抜けをさせて、本当に申し訳なかった。

「言ってなかったっけ?
僕の仕事は時間の融通が利きやすいんだ」

あっけらかんと言われても、理解できない。

「裁判とか打ち合わせとかの予定さえきちんとしておけば、あとはけっこうどうとでもなる。
家に帰ってからでも……」

そこまで言って彼の顔色がみるみる変わっていった。

「……今のは聞かなかったことにしてくれるかな」

慌てて笑顔で取り繕ってきたが、もう遅い。

「迷惑をかけてすみません」

助手席でますます身を縮ませる。
きっと、私が眠ったあとに持ち帰った仕事をやっていたに違いない。

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