黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「依頼料は手料理でって言われたので作ろうと思ったんですが、調理道具がほとんどなくて……」
こんなことを言うのは心苦しくて、視線がテーブルの上を彷徨った。
「調理道具?
……ああ」
しばらくのあいだ悩んだあと、ようやく気がついたのか彼が顔を上げた。
「僕は料理をしないからなー。
そうか、夏初に手料理を作ってもらうなら、調理道具が必要なのか」
当たり前のことを言う彼にそうだと頷き返す。
「んー、次の週末、一緒に買いに行こう」
「はい。
あ、いや、次の週末だとそれまで料理ができないので、私が適当に買ってきていいですか」
一瞬、同意して流しそうになったが、そうじゃない。
ここに置いてもらうあいだ、なにもしないわけにもいかないし。
「え、でも、一緒に買いに行ったほうが楽しいだろ?」
意外そうに彼が眼鏡の向こうで何度か、大きく瞬きをする。
「いや、それはそうですが、せめてごはんくらい作らないとなんか申し訳ないっていうか……」
「……はぁーっ」
彼はとうとう大きなため息をついたが、私はそんな呆れられるようなことを言っているだろうか。
こんなことを言うのは心苦しくて、視線がテーブルの上を彷徨った。
「調理道具?
……ああ」
しばらくのあいだ悩んだあと、ようやく気がついたのか彼が顔を上げた。
「僕は料理をしないからなー。
そうか、夏初に手料理を作ってもらうなら、調理道具が必要なのか」
当たり前のことを言う彼にそうだと頷き返す。
「んー、次の週末、一緒に買いに行こう」
「はい。
あ、いや、次の週末だとそれまで料理ができないので、私が適当に買ってきていいですか」
一瞬、同意して流しそうになったが、そうじゃない。
ここに置いてもらうあいだ、なにもしないわけにもいかないし。
「え、でも、一緒に買いに行ったほうが楽しいだろ?」
意外そうに彼が眼鏡の向こうで何度か、大きく瞬きをする。
「いや、それはそうですが、せめてごはんくらい作らないとなんか申し訳ないっていうか……」
「……はぁーっ」
彼はとうとう大きなため息をついたが、私はそんな呆れられるようなことを言っているだろうか。