黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「そうだった、僕が好きになった夏初はそういう子だった」

なぜか晴貴さんは嬉しそうに笑っている。

「夏初の好きにしていいよ。
お金はあとで渡す」

「あ、いや、お金までは」

許可がもらえたのはよかったが、依頼料も兼ねているのだしお金まで負担してもらう必要はない。

「無職がなに言ってるんだ」

「うっ」

意地悪くにやりと笑った晴貴さんの言葉が私の胸に刺さり、つい押さえていた。

「あ、いや、でも、その……」

無意味に指を突き合わせ、口の中でごにょごにょと言い訳を繰り返す。

「とやかく言わないで素直にもらっておく!」

「ううっ、……はい」

もうそれ以上はなにも言えなくて、素直に頷いた。

お風呂を済ませたあとは一緒にベッドに入る。

「今日はなにか、困ったこととかなかったか」

「はい。
携帯がなくて不便だったのをのぞけば、なにも」

晴貴さんがそっと、隣りあう手を握ってくる。

「だったらよかった。
なにかあったらすぐに言って。
いいね」

「はい……?」

彼の声は恐ろしく真剣で、それがあんなことを意味していたなんてそのときはまだ知らなかった。
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