黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「え……」
相手は会社になっていて、固まった。
どうしようか悩んでいるあいだにも着信音は鳴り続ける。
ようやく止まって私がほっと息をついたのを見計らったかのように再び鳴り出す。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げて放り投げた携帯をかろうじてキャッチする。
仕方なく、応答をタップして携帯を耳に当てた。
「は……」
『始業時間はとっくに過ぎてるぞ!
今日も無断欠勤する気か!』
私が一音も発し終わらないうちに向こうから上司が怒鳴ってくる。
「あの。
私は退職……」
『ああっ?
そんなの、認めてねーぞ。
だいたい、使い込みの件だってまだ片付いてないのに辞められると思ってるのか』
どっど、どっどと心臓が激しく鼓動し、呼吸が荒くなっていく。
『すぐに出てこい!
わかったな!』
一方的に喚き立て、上司は通話を終えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
どうにか立ち上がり、ウォーターサーバーから水を汲む。
病院でもらっていた頓服を流し込み、ぺたんと床に座り込んだ。
「……なんで」
晴貴さんが――弁護士が退職の手続きをしてくれているはずなのだ。
相手は会社になっていて、固まった。
どうしようか悩んでいるあいだにも着信音は鳴り続ける。
ようやく止まって私がほっと息をついたのを見計らったかのように再び鳴り出す。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げて放り投げた携帯をかろうじてキャッチする。
仕方なく、応答をタップして携帯を耳に当てた。
「は……」
『始業時間はとっくに過ぎてるぞ!
今日も無断欠勤する気か!』
私が一音も発し終わらないうちに向こうから上司が怒鳴ってくる。
「あの。
私は退職……」
『ああっ?
そんなの、認めてねーぞ。
だいたい、使い込みの件だってまだ片付いてないのに辞められると思ってるのか』
どっど、どっどと心臓が激しく鼓動し、呼吸が荒くなっていく。
『すぐに出てこい!
わかったな!』
一方的に喚き立て、上司は通話を終えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
どうにか立ち上がり、ウォーターサーバーから水を汲む。
病院でもらっていた頓服を流し込み、ぺたんと床に座り込んだ。
「……なんで」
晴貴さんが――弁護士が退職の手続きをしてくれているはずなのだ。