黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「確認したいんですが。
TOEICはこの点数で秘書検定準一級と簿記二級を持っているって本当なんですよね?」

「はい、間違いありませんが……」

所長の隣に座る、晴貴さんの顔を困惑して見ていた。
もしかして横領疑惑を信じていて、私が嘘をついていると思われているのだろうか。

「嘘だろ……」

私の返事を聞き所長は脱力したようにソファーに寄りかかり、晴貴さんに至っては頭を抱えてしまった。

「なんでこんな人材があんな会社に」

「社会の損失だ」

「え?」

どうも私が想定したのとは違う理由で疑われていたのだとわかり、ますます困惑した。

「どうしてあんな会社……失礼。
あの会社に?」

小さく咳払いし所長は訂正したが、〝あんな〟といいたくなる気持ちはわかる。

「本当はある大企業の最終面接までは行ったんですが、インフルエンザになってしまいまして、行けなくなりました」

あのインフルテロ事件は友人間で語り草になっている。
前日、仲のいい友達四人で遊んだのだが、ひとりがその前の日に熱を出していたのだ。
解熱剤飲んで下がったしいっかーってノリで来て結果、私を含め他の三人がインフルで倒れた。

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