黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「〝どんな条件でも〟はダメだ。
受け入れられない条件はきちんと言え。
なんでも飲み込むとあとで、大変になる」

「……はい」

そのせいで前の会社と退職の件で揉めているのに学習しない自分が嫌になる。

契約が退職は三ヶ月前までに通知、後任に引き継ぎが終わるまでは退職は不可となっていて、会社はなかなか私の退職を認めないらしい。
さらに横領の件がはっきりするまではダメだと言われたという。

そこまでしてくるのなら一度、会社に戻って後任に引き継ぎをしたほうがいいのではないかと思ったものの。

『ただの口実だ。
どのみち違法だしね。
僕の夏初をこんなに困らせるとは、徹底的に叩いてやる……』

……と、晴貴さんの口から地獄の魔王のような笑い声が漏れ、私が怯えた。

丁寧に所長が条件を説明してくれる。
前の会社より休みもお給料もずっと多い。
給料などほぼ倍で驚いた。

「え、こんなにいただけるんですか……?」

「こんなにってほど多くないですよ。
資格手当て込みですし」

「あの資格に手当が付くんですか?」

「ええ」

所長は苦笑いしているが、やはり信じられない。

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