黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「先々、法律関係の資格も取っていただいて、パラリーガルとしても働いていただく期待値も込みになっています」

「はい」

資格を取る勉強は苦ではない。
それに今までのように停滞していく自分に諦めているよりもずっと、やりがいがある。

「夜桜さん。
うちで働く気はありますか」

姿勢を正し、真っ直ぐに所長は私を見た。
私も座り直し、背筋を伸ばす。

「はい。
よろしくお願いします」

できるだけ美しい姿勢で頭を下げた。
まさか、自分がこんな立派な弁護士事務所で働けるなんて思ってもいなかった。

「まあ、あとはあの会社を無事に辞められなきゃだけどね」

困ったように所長が笑う。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

こうやって雇ってくれるところはあるのに、ままならない自分がもどかしい。

「夜桜さんが謝ることじゃないですよ。
陽川先生、この件、どうなってるの?」

「内容証明は送ったんですが無視してますね。
ハローワークにも通報済みなのでそろそろもう一度、連絡してみようと思います」

「よろしい。
横領疑惑の件も含めて徹底的にやってやりなさい。
だいたい、査問会とか違法だしね」

< 129 / 253 >

この作品をシェア

pagetop