黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「それって……」
「所長から電話があったって嘘をついたんです」
戻って部下の方だけでは、あの男は切れて怒鳴り散らすのではないかと心配になったが。
「もちろん、所長にも連絡を入れてあります。
すぐに残っている職員を帰らせると言っていたので今頃、誰もいない事務所で途方に暮れているでしょうね」
想像したら私もおかしくなってきて、笑いが込み上がってくる。
「えー、ひど……くない、ですね」
ケラケラと笑い、渇いた喉にシャンパンを流し込んだ。
「鹿野谷を訴えます?
お手伝いしますよ」
スマートな動作でスーツの内ポケットから名刺入れを取り出し、彼は一枚抜いて渡してきた。
そこには弁護士の肩書きとともに陽川晴貴と名前が書いてあった。
「陽川さんは弁護士さん……なんですよね?」
あの男を先輩と呼んでいたし、弁護士なのは間違いないがつい疑問形になってしまう。
彼――陽川さんのスーツの襟には弁護士を示すバッチがついていなかった。
私の気持ちに気づいたのか、ちらりと彼の視線が自分の襟へと向く。
「所長から電話があったって嘘をついたんです」
戻って部下の方だけでは、あの男は切れて怒鳴り散らすのではないかと心配になったが。
「もちろん、所長にも連絡を入れてあります。
すぐに残っている職員を帰らせると言っていたので今頃、誰もいない事務所で途方に暮れているでしょうね」
想像したら私もおかしくなってきて、笑いが込み上がってくる。
「えー、ひど……くない、ですね」
ケラケラと笑い、渇いた喉にシャンパンを流し込んだ。
「鹿野谷を訴えます?
お手伝いしますよ」
スマートな動作でスーツの内ポケットから名刺入れを取り出し、彼は一枚抜いて渡してきた。
そこには弁護士の肩書きとともに陽川晴貴と名前が書いてあった。
「陽川さんは弁護士さん……なんですよね?」
あの男を先輩と呼んでいたし、弁護士なのは間違いないがつい疑問形になってしまう。
彼――陽川さんのスーツの襟には弁護士を示すバッチがついていなかった。
私の気持ちに気づいたのか、ちらりと彼の視線が自分の襟へと向く。