黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
今日は直帰と事務所で聞いていたし、晴貴さんからもメッセージが届いている。

「ほんとに忙しいんだな……」

ベンチから立ち上がり、地下鉄の駅へと向かう。
一緒の職場になると彼がいかに忙しい人かわかった。
企業案件に民事訴訟、若手に振ればいいような案件まで抱えているらしい。

そんな中で私の件まで、しかもほぼ無償で頼んでしまったのは心苦しくもある。
だからせめて、美味しい料理を作ろうと決めた。

近くのスーパーで買い物をして晴貴さんのマンションに帰り、料理を始めた。

なぜか私はまだ、晴貴さんのマンションで生活している。
気持ちも落ち着いて薬も減った。
それに晴貴さんが危惧していた、会社の人間が家に押しかけてくるという事態ももうなさそうだが、まだここにいる。

前の会社で査問会にかけられたあと、晴貴さんが私を自分の部屋に置いたのは気持ちが不安定なのもあったが、会社の人間が家に押しかけてくるのを警戒してだった。

実際、一度、着替えを取りに部屋に帰ったらポストへ会社の人間と思われる、大量の嫌がらせの手紙が入っていた。
それらは重要な証拠となるからと晴貴さんが保管している。

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