黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
今から帰ると連絡をもらい、時間を見計らって最後の仕上げをする。
ちょうどでき上がった頃、彼が帰ってきた。

「ただいまー」

「おかえりなさい」

ちゅっと軽く、彼の唇が重なる。
ここに来て、いってきますとただいまのキスは当たり前になってしまった。

「いい匂いがするね。
今日の晩ごはんはなに?」

「ハンバーグですよ」

「やった。
ハンバーグ、好きなんだよね。
手、洗ってくる」

鞄を持って彼がリビングを出ていく。
きっと書斎に鞄を置いて手を洗ってくるのだろう。
晴貴さんのマンションは2LDKで、リビングの他に寝室と仕事部屋兼書斎がある。
しかも職場から地下鉄で十分、地下鉄の駅からも徒歩五分とか、家賃を想像したら怖すぎる。

「おまたせ。
なんかオシャレなハンバーグだね」

「そうですか」

シャツとスラックスの姿で彼は食卓に着いた。
部屋着に着替えるのはお風呂のあと派らしい。
すでに彼の買ってくれたもこもこルームウエアの私とは違う。

「いただきます」

手をあわせ、お箸を取って彼が食事を始める。
いつも、そう。
家で食べるときは丁寧に手をあわせる。
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