黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
仕事で褒められるなんて初めてで、ほのかに頬が熱くなる。

「あのー、陽川先生?
参考までに我々にもその資料をみせてもらってもよろしいでしょうか」

「ああ。
ぜひ見るといい」

控えめに斉藤さんから声をかけられ、晴貴さんが手にしていた書類を渡す。
すぐに事務員たちがわらわらと寄ってきて斉藤さんの手もとをのぞき込んだ。

「あー、陽川先生が求めてるのってこんな感じなんだ」

「てか、凄く見やすいな」

「なあこれ、マクロ組んでやってるの?」

「あっ、はい。
簡単なものですが」

男性事務員に尋ねられ、慌てて答える。

「いやいやこれ、簡単じゃないって」

「前の会社で教えてもらったの?」

「いえ。
表計算ソフトを使わないといけなかったんですが、誰も教えてくれなくて。
独学でどうにかしました」

入社してすぐ、データだけ渡されてこれで資料を作れと言われたときを思い出し遠い目になった。
表計算ソフト使えば簡単だろ?とは言われたが、尋ねても誰も使い方を教えてくれなくて途方に暮れた……。

もう自力でどうにかするしかないと悟り、ハウツーの本と動画サイトで猛勉強したのは懐かしい思い出だ。

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