黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
「へー」

「うちに来てもらって正解だったな」

うんうんと全員が頷く。

「私なんて人並みに使える程度ですが……?」

「いやいや、これだけ使えたらたいしたもんだよ」

またもや全員がうんうんと頷く。

「夏初は自己評価が低すぎだ。
これだけの資料が作れるんだから、胸を張ったほうがいい」

「はぁ……?」

晴貴さんからそこまで言われてもまだ、私は大げさではないかと思っていた。

気が済んだのか晴貴さんが出ていった途端、事務室内がざわめいた。

「ねえ。
さっきの陽川先生、見た?」

「笑ってた、笑ってたぞ。
しかもうっすら笑いじゃなくて、滅茶苦茶嬉しそうに笑ってたぞ」

「明日は雪?
いや、槍が降るの?」

晴貴さんが笑ったくらいでえらい騒ぎだが、そんなに?

「あ、あのー。
陽川先生が笑ったくらいでそんな……」

「夜桜さん」

代表するように斉藤さんがずんと迫ってきて、背中が仰け反った。

「陽川先生が笑うなんてレアなの。
しかもあんな嬉しそうな笑顔、先生がこの事務所に所属してから一度も私は見たことがないわ」

全員がそうだと言わんばかりにうんうんと頷く。

< 145 / 252 >

この作品をシェア

pagetop