黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
第六章 夏初に触れていいのは僕だけだ
あれから元勤め先の会社は私の退職を認め、離職票が発行された。
晴貴さんも鹿野谷所長も前の会社の有休消化できていないんだし、いろいろ大変だったんだからとしばらくのお休みを勧めてくれたが、無給でいるのが恐ろしくて速攻で勤務開始にしてもらった。

「本日よりお世話になります、夜桜です。
よろしくお願いします」

私が頭を下げると拍手が起きた。
通常は朝礼などないそうだが、今日は私が初日なので顔合わせを兼ねておこなわれた。

「夜桜さんには陽川先生の秘書をやってもらう。
慣れるまでは皆、助けてやってくれ」

この事務所に所属している弁護士は数十人いるが、常駐しているのは十人程度だ。
あとは半ば引退している大御所や、案件ごとに関わる外部の個人等、多様な契約関係なのだという。

常駐組にはもちろん、陽川さんも入っている。
あと、意外でもないがあのタワマンパーティで私を口説いてきた鹿野谷さんも。
父親の事務所に所属していると言っていたし、当たり前だが。

私の紹介が主な簡単な朝礼が終わり、業務が始まる。

「簡単に業務の流れから説明するね」

「はい」

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