黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
強引に肩を押して連れていかれる先にはふたりの女性事務員が待っていて、これ以上は迷惑をかけるわけにはいかず諦めた。
ちなみに晴貴さんは朝礼のあと、打ち合わせから裁判だと外に出ている。

連れてこられたのはオシャレなイタリアンだった。
今まで社食かコンビニごはんで済ませていたから、社会人になって外ランチは初めてだ。

勧められるがままに椅子に座り、メニューを開いて目眩がした。

……た、高い。

こんな一等地にあるレストランなのだから覚悟はしていたが、ランチごときに千円以上払うなんて贅沢すぎて恐ろしい。

……ううっ、晴貴さん、ありがとうございますだよ。

今朝、仕事に行く前に晴貴さんからまたバーコード払いに送金がされた。

『たぶん、ないと困るから』
そう言って強引に押し切られたがこれがなければ今頃、どうやってこの昼食代を払っていいのかわからずに詰んでいたと思う。
本当に晴貴様々だ。

「あの。
仕事は本当によかったんでしょうか……?」

仕事を残してランチになんてきているのが気にかかる。
しかもレストランでなんて時間もかかるし。

「はぁーっ……」

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