黒弁護士は夜咲く桜を独占する~過保護な愛に溶かされて~
斉藤さんも他の皆さんの苦笑い気味だが、今まで会社の飲み会といえばチェーンの居酒屋一択だったので、世界が違いすぎる。

全員が揃うまで、待っているあいだも軽くお酒が出た。

「今日も大御所の先生方、来るんですよね」

「もちろん。
あの方たち、事務所の飲み会が楽しみだもの」

カシスソーダを傾けながら、先輩方の話を聞く。
今日は外部の先生方もあわせて四十人くらい参加なのらしい。
当然、初めて顔をあわせる先生もいるので緊張する。

ほぼ時間どおりに歓迎会が始まる。
時間になっても上司が来ず、気まずい思いをして待つ必要もない。

「新しく鹿野谷法律事務所の一員になった夜桜さんを歓迎して。
乾杯」

所長の軽い挨拶のあと、シャンパンで乾杯し銘々食べ始める。

「どうぞ」

「あり……」

所長にお酌しようとシャンパンの瓶を取ったが、彼はグラスを上げかけて止まった。

「夜桜さん。
ここではそういうこと、しなくていいですよ。
飲みたい人間は自分で注ぐ」

隣で晴貴さんがうんうんと頷いているが、信じられない。
しかし見渡してみると大抵、大御所の先生も自分でお酒を注いでいた。

「そうそう」

< 150 / 252 >

この作品をシェア

pagetop